代襲相続とは|代襲者の範囲と相続割合、税金と相続放棄との関係

1.代襲相続とは?

ある人が死亡した場合、その人の一定範囲にある親族には相続権が認められます。この場合、死亡した人を「被相続人」、相続権が認められる人のことを「相続人」といいます。

法律上の原則として、ある人に相続権が認められるためには、被相続人の死亡時点において生存していることが必要です。これを「同時存在の原則」といいます。

しかし世の中には、被相続人の死亡以前に、相続人としての資格を持つ人が死亡してしまうことがあります。民法の規定では、本来であれば相続権が認められるはずの人であっても、被相続人の死亡以前に死亡してしまった場合には、相続権が認められなくなってしまうことになっています。

しかし、この場合でも救済のための制度が用意されています。被相続人の死亡以前に死んでしまった人に子供がいる場合、その子供に相続権が認められるのです。このような相続を代襲相続(だいしゅうそうぞく)といいます。

代襲相続の条件を満たした場合には、おじさんやおばさんの財産を相続することができるケースもあるのです。

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2.代襲相続の代表例

それではここで、代襲相続を理解していただくために、代襲相続の具体例をご紹介します。

(事例)
夫婦である「甲」「乙」の間に子供「A」がいたとしましょう。
この事例において、甲さんが死亡しました。当然、甲さんの財産について法律上、相続が開始することになります。この場合、甲さんは被相続人と呼ばれます。

民法では、相続人に順位が定められています。
この相続では、通常であれば第1順位の相続人として被相続人の子供であるAさんと被相続人の配偶者である乙さんが相続人となります。世間でよくある、もっとも一般的な相続のパターンといってよいでしょう。
しかし、この場合において被相続人である甲さんよりも先にAさんが死亡していたとしたらどうなるでしょうか?

Aさんに子供がいない場合|第2順位以降の相続となる

民法の規定によって被相続人である甲さんよりも先に、その子供であるAさんが死亡してしまっている場合には、Aさんには相続権が認められないことになります。被相続人の財産を相続するためには、相続開始時点で相続人が生存していなければならない、というのが法律上のルールだからです。
そのため、この相続は第1順位の相続人がいないということになり、結果として第2順位以降の相続人に相続権が移ることになってしまいます。

Aさんに子供がいる場合|代襲相続できる!

しかし、この事例においてAさんに子供「A1」がいたとしたら、相続関係はどうなるでしょうか?
民法上、A1さんには代襲相続権が認められるため、この事例ではA1さんがAさんを代襲して相続することになります。このため、被相続人甲さんの相続は第1順位の相続人によって行われることになり、第2順位以降の相続人はいっさい相続権が認められないということになるのです。

この事例におけるAさんを「被代襲者」、A1さんを「代襲者」または「代襲相続人」といいます。

3.代襲相続が発生する5つのパターン

代襲相続は、被相続人の子供または兄弟姉妹が相続人となる場合に限り認められる制度です。被相続人の子供や兄弟姉妹が相続放棄以外の原因で相続権を失った場合、それらの人に子供(直系卑属)がいることを条件として、その子供に相続権を認めるという制度です。

代襲相続の発生原因

民法上、代襲相続が発生するための原因は、以下の3つのケースに限定されています。

  • ① 相続人の死亡
  • ② 相続の欠格
  • ③ 相続排除

代襲相続は、上記以外の原因によって発生することはありません。つまり、相続の放棄があった場合、相続放棄した人の子供には代襲相続権は認められないことになります(民法887条2項)。

代襲相続の5つの要件

民法上、代襲相続の要件には5つが定められており、そのすべてを満たすことで代襲相続が認められることになります。

  • (1)被代襲者が第1順位または第3順位の相続人であること(民法887条2項、889条2項)。
  • (2)被代襲者が相続開始以前に死亡、相続欠格、排除などによって相続権を失っていること(887条2項)。
  • (3)相続開始時点において代襲者が被代襲者の直系卑属であること
  • (4)被相続人の相続において、代襲者が欠格や排除などに該当しないこと
  • (5)代襲者が被相続人の直系卑属であること(887条但し書き)

代襲相続が認められるためには、以上5つの要件すべてを満たしていることが必要です。
しかし、これでは少し専門的過ぎて理解しづらいと思います。順を追って、わかりやすく解説してみましょう。

(1)被代襲者が第1順位または第3順位の相続人であること

代襲相続が認められるためには、相続の順位が問題となります。民法上、相続が第1順位または第3順位の相続人となる場合に限って、その他の条件を満たした場合に代襲相続が認められることになります。
つまり、具体的には「被相続人の子供」または「被相続人の兄弟姉妹」が相続人となるケースです。

相続の順位について

民法上、ある相続において一定の親族に相続権を認めるためのルールとして、相続の順位が定められています。
相続に関する問題を考える場合、相続人に関する順位は非常に大切なものとなります。そのため、ここでは相続の順位について簡単に解説させていただきます。
被相続人の親族間における相続の具体的な順序は、つぎのようになります。

①第1順位の相続人:被相続人の子供

被相続人に子供がいる場合、子供には相続権が認められます。
被相続人の子供は、民法上第1順位の相続人とされています。そのため、被相続人に子供がいる場合には第2順位以下の相続人がいたとしても、それらの人たちには相続権が認められないことになります。

②第2順位の相続人:被相続人の直系尊属

被相続人に子供がいない場合、その相続においては第1順位の相続人が存在しないことになります。この場合、相続権は第2順位の相続人に移ることになります。
民法では、第2順位の相続人は、被相続人の直系尊属とされています。「直系尊属」とは、被相続人の両親や祖父母などのことを言います。

③第3順位の相続人:被相続人の兄弟姉妹

第1順位、第2順位の相続人がいない場合、相続権は第3順位の相続人に移転します。第3順位の相続人とは、被相続人の兄弟姉妹とされています。

④配偶者はかならず相続人となる

ここで注意していただきたいのは、配偶者の扱いです。
被相続人に配偶者がいる場合、相続がどの順位で行われる場合でも、配偶者には相続権が認められることになります。
例えば、被相続人に子供がいないため第2順位の相続人によって相続が行われる場合には、第2順位の相続人と被相続人の配偶者に相続権が認められることになるのです。

なお、それぞれの順位における具体的な相続分(相続できる財産の割合)に関しては、以下の記事を参照してください。

(2)被代襲者が相続開始以前に死亡、相続欠格、廃除などによって相続権を失っていること

代襲相続が認められるためには、被相続人の死亡以前に被代襲者が死亡や相続の欠格または相続人の排除を受けるなどの理由によって相続権を喪失していることが条件となります。
ここで注意が必要なのは、相続放棄の場合には代襲相続が認められない、という点です。つまり、被代襲者が相続を放棄している場合、その子供には代襲相続権が認められないので注意してください。

これは相続開始前だけでなく、相続開始後においても同様です。つまり、仮に被代襲者が相続開始後に相続人の欠格や廃除に該当した場合でも、その子供には代襲相続が認められます。

被代襲者の死亡の時期に関しては、あくまでも「被相続人の死亡以前」であることが要件です。つまり、被相続人の死亡より前の死亡はもちろん、被相続人と同時に死亡した場合も含まれることに注意してください。
たとえば、被相続人と被代襲者が同乗している自動車が事故にあい、2人とも同時に死亡した場合でも、被相続人の孫には代襲相続権が認められることになります(民法32条の2)。

(3)代襲相続する人が相続開始時点で被代襲者の直系卑属であること

被相続人の子供が、被相続人の死亡以前に死亡してしまっているなどの場合、被相続人の子供に子供(被相続人の孫)がいるケースでは代襲相続が認められます。この場合、被相続人の子供は被代襲者となります。そして、被代襲者の子供が代襲者(代襲相続人)となります。
この場合において、被相続人の死亡以前に代襲者が死亡してしまっている場合にはどうなるでしょうか?

このような場合には、代襲者に子供がいるケースに限り、さらに代襲相続が認められることになります。これを「再代襲」といいます。被相続人の子供が相続人となるケースでは、再代襲に制限はありません。「再代襲」だけでなく、「再々代襲」も可能です。

つまり、被相続人の子供から何代でも再代襲は可能とされているのです。

これに対して被相続人の兄弟姉妹が相続人となる場合(第3順位の相続)、代襲相続は兄弟姉妹の子供1代限りとされています。

なお、出産前の胎児に関しては、生きて生まれてくることを条件として代襲相続する権利が認められることになっています(民法886条)。

(4)代襲相続する人が欠格・廃除に該当しないこと

代襲相続によって代襲者は、被相続人の財産を相続することになります。このため代襲者は、被相続人との関係において欠格または廃除に該当しないことが相続の条件となります。
また同様に、代襲者は被代襲者との関係でも、廃除または相続の欠格に該当してはいけません

(5)代襲相続する人が被相続人の直系卑属であること

代襲相続が認められるためには、代襲者が被相続人の直系卑属であることが必要です。「直系卑属」とは、被相続人の子供や孫などのことをいいます。
このため、被相続人との間に血縁関係の認められない養子の連れ子などには代襲相続権は認められないことになります。

これと似た事例として、養子の連れ子と被相続人が養子縁組をしているケースを考えてみましょう。
この場合、養子の連れ子と被相続人の間には法律上親子関係が認められることになります。そのため、養子の連れ子には被相続人の相続財産に対する相続権が認められることになります。しかし、このケースは代襲相続ではなく、通常の相続です。

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4.相続放棄では代襲相続できない!

このポイントは重要なことなので、繰り返させていただきます。被代襲者が相続を放棄した場合、代襲相続は認められません
これは民法上、相続放棄をした人は、はじめから相続人でなかったという扱いになるからです。そのため、相続放棄した人に子供がいたとしても代襲相続は認められないことになるのです。

そのため、仮に第1順位から第3順位まで、すべての相続人が相続の放棄をした場合には相続財産は基本的に国のものとなります(民法959条)。

被相続人に孫や甥・姪がいたとしても、この扱いは変わりません。
ただし被相続人の生前において、その療養看護などに努めたことが認められる場合には、民法上「特別縁故者」として相続財産の中から一定の財産を受けられる可能性があります(民法958条の3)。
その場合には、家庭裁判所において一定の手続きが必要となります。興味がある場合には、手続してみてはいかがでしょうか。

参考:「特別縁故者とは|相続財産がもらえる3つのケースと手続き」

5.代襲相続のパターンごとの相続分

すでにご覧いただいたように、代襲相続が認められるためには相続が第1順位または第3順位の相続人によって行われることが必要です。
そして代襲相続が行われる場合には、代襲相続人は被代襲者の相続分を承継することになります。もし代襲相続人が複数存在する場合には、被代襲者の相続分を代襲相続人の人数で平等に分割し、それぞれの代襲相続人が相続することになります。

……などと言葉で説明しても理解しづらいと思いますので、こちらでは具体的な事例でご覧いただきましょう。

(1)第1順位の相続の場合

まず、相続が第1順位、つまり被相続人の子供が相続人となる事例をご覧いただきましょう。

(設例)
夫婦「甲」「乙」の間に「A」「B」という2人の子供がいます。
甲さんには、1000万円の財産があります。

上記のような事例において、甲さんが令和元年5月1日に死亡したとしましょう。
この場合、被相続人を甲さんとする相続が開始することになります。相続財産は1000万円です。

①通常の相続の場合

甲さんの相続において代襲相続が発生しない通常のケースでは、各相続人およびそれぞれの相続分は次のようになります。

乙さん:500万円

被相続人の子供が相続人となる相続では、被相続人の配偶者には相続財産の2分の1が相続分として認められます(民法900条1号)。
そのため、被相続人の配偶者である乙さんは、全相続財産1000万円の2分の1である500万円を相続できることになります。

Aさん:250万円

第1順位の相続人、つまり被相続人の子供によって相続が行われる場合、子供の相続分は2分の1とされます。
この場合において、子供が複数いる場合には、その相続分を子供の人数で等分し、子供がそれぞれ相続することになります。

今回の設例では、子供の相続分として相続財産の2分の1である500万円が認められることになります。しかし、被相続人甲さんにはAさんとBさんという2人の子供がいるため、実際の相続分は500万円を等分したものとなります。
このため、Aさんの相続分は250万円となります。

Bさん:250万円

上記Aさんの場合と同様、Bさんは250万円を相続することができます。

②Bさんが死亡している場合:Aさんが独り占め

それではここで、Bさんが甲さんと同時に死亡していたとしたらどうなるでしょうか?甲さんの運転する車に乗っていたBさんが事故に巻き込まれ、同時に死亡してしまったとしましょう。
この場合、Bさんに子供がいないケースでは、それぞれの相続分はつぎのようになります。

乙さん:500万円
Aさん:500万円

本来であれば相続権の認められる人が被相続人の死亡「以前」に死んでしまった場合、その人には相続権が認められません。「被相続人の死亡以前」とは、被相続人よりも先に死亡したケースだけではなく、被相続人と同時に死亡したケースが含まれるのです。

この設例では、Bさんには相続権が認められないため、被相続人の子供に認められる相続分をAさんがすべて独り占めできることになります。

③Bさんに子供がいる場合:代襲相続が認められる

同じ設例において、今度はBさんに「B1」「B2」という2人の子供がいる場合にはどうなるでしょうか?
Bさんに子供がいる場合、その相続分に関して代襲相続が認められます。
そのため、それぞれの相続人および具体的な相続分に関しては以下のようになります。

乙さん:500万円
Aさん:250万円
B1さん:125万円
B2さん:125万円

代襲相続が発生する場合でも、代襲に無関係な相続人の相続分は変わりません。
このため、Bさんに代襲相続が発生したとしても、乙さんの相続分は変化しません。

Bさんの相続分が代襲相続される場合、被代襲者であるBさんに認められる相続分を代襲者が相続することになります。この場合において、代襲者が複数いる場合には被代襲者の相続分を等分して分け合うことになります。

被代襲者であるBさんには、代襲者としてB1さんとB2さんがいます。このため、Bさんに認められる相続分250万円をB1さんとB2さん2人で均等に分割することになります。
このため、B1さん・B2さんの相続分は、それぞれ125万円ずつとなるのです。

④配偶者がいない場合の相続分

上記の設例において、被相続人に配偶者がいない場合、子供の相続分はどうなるでしょうか?
被相続人に配偶者がいない場合とは、離婚していたり、配偶者が被相続人の死亡以前に死亡しているケースなどが該当します。

全財産を子供が相続する

被相続人死亡時点において、被相続人に配偶者がいない場合、相続財産はすべて子供のものとなります。
そのため、上記の設例においては相続財産1000万円を子供が均等に相続することになります。

⑤養子の相続分

被相続人が生前に養子縁組していた場合、その養子には被相続人の実子(実の子供)と同じように相続権が認められます。
この場合において、養子に子供がいる場合、養子の子供が被相続人の代襲相続人となれるかについては当事者の事情によって扱いが異なるので注意が必要です。
具体的には、養子の子供がいつ生まれたのかによって、代襲相続の可否が決定されることになります。

養子縁組前から養子に子供がいる場合

被相続人が生前に養子縁組していた場合において、養子縁組前に生まれた養子の子供には、民法上被相続人との間に血縁関係が認められないことになっています。
血縁関係が認められないということは、養子の子供は被相続人の直系卑属ではないことになります。

代襲相続権が認められるためには、代襲相続人が被相続人の直系卑属であることが必要です。このため、養子縁組前に生まれた養子の子供は、被相続人の代襲相続人にはなれないのです。

このように養子縁組前に生まれた養子の子供は、被相続人の代襲相続人にはなれません。
しかし、被相続人と養子縁組したり遺贈を受けるなどした場合には、相続財産を受けることができます。

養子縁組後に養子に子供が生まれた場合

被相続人が養子縁組した後に養子に子供が生まれた場合、被相続人と養子の子供との間には法律上、血縁関係が認められます。
つまり、この場合には養子の子供は、被相続人の直系卑属となるのです。この場合、養子の子供には被相続人の相続において代襲相続することが認められます。

(2)第3順位の相続の場合

相続が第3順位、つまり被相続人の兄弟姉妹が相続人になる場合、代襲相続はどのようになるのでしょうか?
具体的な設例で見てみることにしましょう。

(設例)
被相続人:「甲」
相続人:被相続人の配偶者「乙」・兄弟姉妹「A」「B」
相続財産:2000万円

被相続人に子供がなく、その直系尊属(両親、祖父母など)もいない場合、相続権は被相続人の兄弟姉妹に移転します。
設例の相続においては、相続人は被相続人の配偶者である「乙」、被相続人の兄弟姉妹である「A」「B」となります。

この場合における、それぞれの相続人の法定相続分は以下のようになります。

①通常の相続の場合

甲さんの相続が第3順位の相続人によって行われる場合において、代襲相続が発生しない通常のケースでは、各相続人およびそれぞれの相続分は次のようになります。

乙さん:1500万円

被相続人の兄弟姉妹が相続人となる相続では、被相続人の配偶者には法定相続分として相続財産の4分の3が認められます(民法900条3号)。
そのため、被相続人の配偶者である乙さんには、全相続財産2000万円の4分の3に該当する1500万円を相続する権利が認められます。

Aさん:250万円

第3順位の相続人、つまり被相続人の兄弟姉妹によって相続が行われる場合、兄弟姉妹の法定相続分は4分の1とされます。
この場合において兄弟姉妹が複数いる場合には、その相続分を兄弟姉妹が均等に分け合うことになります。

今回の設例では相続財産は全体で2000万円ですから、兄弟姉妹の法定相続分として相続財産の4分の1である500万円が認められることになります。
しかし、被相続人甲さんにはAさんとBさんという2人の兄弟姉妹がいるため、実際の相続分は500万円を2等分したものとなります。
このため、Aさんの相続分は250万円となるのです。

Bさん:250万円

民法上、兄弟姉妹の間の相続分は等しいものと定められています(民法900条4号)。
このためBさんは、上記Aさんの場合と同様、250万円を相続することになります。

②Bさんが死亡している場合:Aさんが独占する

同じ設例において、今度はBさんが甲さんよりも先に死亡していた場合、相続人およびそれぞれの相続分はどうなるでしょうか?
この場合、Bさんに子供がいないケース(代襲相続が発生しないケース)では、それぞれの相続分はつぎのようになります。

乙さん:1500万円
Aさん:500万円

第1順位の相続人による相続の場合と同様、本来であれ相続権の認められる人であっても被相続人の死亡「以前」に死んでしまった場合、その人には相続権が認められません。
この設例では、Bさんは被相続人の死亡以前に死亡してしまっているため、Bさんには相続権がまったく認められなくなります。

このため、被相続人の兄弟姉妹に認められる相続分はAさんがすべて1人で相続することになります。

③Bさんに子供がいる場合:代襲相続が認められる

同じ設例において、今度はBさんに「B1」「B2」という2人の子供がいる場合、話はまったく変わることになります。

Bさんに子供がいる場合、その相続分に関しては代襲相続が認められるからです。
そのため、それぞれの相続人および具体的な相続分は、つぎのようになります。

乙さん:1500万円
Aさん:250万円
B1さん:125万円
B2さん:125万円

第1順位の相続人による相続の場合と同様、代襲相続が発生する場合でも代襲に無関係な相続人の相続分は変わりません。
このため、乙さんの相続分は代襲相続が発生する場合でも変化することはありません。

代襲相続が発生しない場合、被相続人には兄弟姉妹がAさん1人しかいない扱いとなりました。しかし、Bさんの相続分が代襲相続される場合、被相続人にはAさんとBさん2人の兄弟姉妹が存在する扱いになります。
このため、Aさんは兄弟姉妹の法定相続分である500万円の2分の1、つまり250万円を相続することになります。

そして代襲者であるB1さんとB2さんは、被代襲者であるBさんに認められる相続分を平等に頭割りして、それぞれ相続することになります。

被代襲者であるBさんには、250万円が認められます。このため代襲者であるB1さんとB2さんは、この250万円を2人で均等に分割することになるのです。
このため、B1さん・B2さんの相続分は、それぞれ125万円ずつとなります。

④配偶者がいない場合の相続分:兄弟姉妹がすべて相続できる

上記の設例において、被相続人に配偶者がいない場合、被相続人の兄弟姉妹には相続財産すべてを相続する権利が認められます。

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6.代襲相続は何代までできる?代襲相続の範囲について

ご覧いただいたように、関係者にとって代襲相続は非常にありがたい制度です。
しかし、場合によっては代襲相続することが制限されることがあるので注意が必要となります。

(1)被代襲者が子供の場合:代襲相続は何代でも可能

被相続人の子供が相続人となる場合、代襲相続の範囲に制限はありません。
つまり、被相続人の孫だけでなく、「ひ孫」や「やしゃご」なども代襲相続人となることができます。このため被相続人の死亡以前に、被相続人の子供や孫が死亡してしまっている場合でも、ひ孫が存在すれば代襲相続が認められることになります。

(2)被代襲者が兄弟姉妹の場合:代襲相続は1代だけ

相続人が被相続人の子供である場合、上記のように代襲相続が認められる範囲には制限がありません。
これに対して、相続人が被相続人の兄弟姉妹となる場合には、代襲相続権は1代に限定されています。

つまり、兄弟姉妹の子供(被相続人の甥・姪)のみに代襲相続権が認められることになります。
このため、被相続人の死亡以前に被相続人の兄弟姉妹とその子供(被相続人の甥・姪)が死亡してしまった場合、甥・姪に子供がいたとしても代襲相続権は認められなくなってしまいます。

なお、第3順位の相続人には民法上、遺留分が認められていません。このため、代襲相続における代襲者にも遺留分が認められないので注意が必要です。

指定相続分には注意が必要

上記の各相続分は、あくまでも法定相続分による計算となります(民法900条)。
被相続人には遺言によって、法定相続分と異なる割合による相続分を指定することが認められています。これを「指定相続分」といいます。

このため被相続人が生前に法定相続分と異なった相続分を遺言によって指定している場合には、それぞれの相続人の相続分は、指定相続分による割合になります。

また、相続人全員による遺産分割協議の結果、指定相続分と異なる割合で相続することも可能です。

7.代襲相続と相続税の基礎控除との関係

相続が発生した場合、多くの人にとって税金の問題は頭痛の種となるものです。相続によって財産を取得した場合、相続税がかかることがあるからです。

相続税は、相続開始時点から起算して10か月以内に申告・納付をしなければならないことになっています。この期限を過ぎた場合には、延滞税が加算されるなど面倒なことになってしまいます。

しかし、相続したからといってかならず相続税が発生するわけではありません。相続税の「基礎控除」の範囲内であれば、相続税はいっさいかからないのです。

それでは、相続税の基礎控除とは、どのようなものなのでしょうか?

相続税における基礎控除とは?

相続税を計算する場合、基礎控除は非常に重要な要素となります。なぜなら、相続財産が基礎控除の範囲内であれば、いっさい相続税がかからないことになるからです。

相続税の基礎控除は、法定相続人の数に応じて基礎控除額が高くなるというシステムになっています。
具体的には、つぎのような計算式によって控除額を計算することができます。

基礎控除額 = 3000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

(1)基礎控除の計算方法

それではここで、相続税の基礎控除額に関する具体的な計算方法を見てみることにしましょう。

たとえば相続人が被相続人の配偶者と、子供2人である場合、相続人の数は3人となります。

この場合、基礎控除の額は……

基礎控除額 = 3000万円 + 600万円 × 3人 = 4800万円

つまり、相続財産が4800万円以下である場合には、相続税はかからないということになります。
同様に、相続人の数が5人の場合では基礎控除の額は6000万円になることがお分かりいただけるでしょう。
相続税に関する基礎控除額は、相続人の数が多いほど高額となり、納税者側としては有利になるシステムとなっているのです。

(2)相続人の数には代襲相続人も含まれる

相続税の基礎控除額を計算する場合、法定相続人の数が問題となります。すでにご覧いただいたように、控除額は法定相続人の数が多いほど高額となるからです。
この場合の「法定相続人の数」の中には、代襲相続人も含まれることになっています。

たとえば、ある相続における相続人が「A」「B」「C」だったとしましょう。
この場合、相続人の数は3人ですから、相続税の基礎控除額は上記のように4800万円ということになります。
しかし同じ事例において、被相続人の死亡以前にCさんが死亡しており、Cさんの子供「C1」「C2」「C3」の3人が代襲相続するケースを考えてみましょう。

このケースでは、実際に相続人となるのは「A」「B」「C1」「C2」「C3」の5人です。このため相続税の基礎控除額は、上記の計算式に基づき6000万円ということになります。

同じ相続でありながら、代襲相続が発生したことによって控除額が1200万円も増加したことが分かります。このように、相続において代襲相続が発生した場合、相続税の控除額が増加するのが一般的です。

(3)養子縁組すると税金対策となる

相続に関する権利において、法律上実子と養子の間に差別はありません。被相続人に実子のほかに養子がいる場合、養子は実子とまったく同じ相続権が認められます。

相続する側の人間としては、相続税はなるべく払いたくないと思うものです。
すでにご覧いただいたように、相続税の基礎控除は相続人の数が多いほど高額となります。このため、基礎控除額を増額させるために養子縁組が利用されることがあります。
実子の数は増やすことはできませんが、養子の数は増やすことができます。養子は養子縁組すれば、いくらでも増やすことができるからです。
養子の数が増えれば、相続人の数が増加するため、相続税の基礎控除額を増額させることができるのです。

しかし、これを無制限に認めてしまうと養子縁組を繰り返すことによって、相続人の数が10人になれば、相続税の基礎控除額は9000万円にも及ぶことになってしまいます。
これでは相続税の支払いを逃れる路を残すことになってしまうため、税法上では養子の数に制限が設けられています。

(4)養子の数には制限が!

民法上、養子の数には制限がありません。上記のように養子縁組を繰り返すことで、養子は5人でも10人でも取ることが可能です。
しかし、相続税の基礎控除額を計算する場合には、養子の数は次のような制限を受けることになっています。

① 被相続人に実子がいる場合:養子は1人だけ
② 被相続人に実子がいない場合:養子は2人まで

このような制限があるのはなぜかといいますと、上記のように養子を無制限に認めてしまった場合、いくらでも基礎控除額を増額させることができるからです。そのようなことが認められれば、相続税を支払う人がいなくなってしまうかもしれません。

そのようなことを防止するために、相続税の基礎控除の計算上では養子は2人までとされているのです。
なお、数に制限があるのは、あくまでも養子に関してだけです。実子には制限がありませんので、ご注意ください。

(5)実子としてカウントされる人

上記のように、相続税の基礎控除額の計算において養子の数には制限があります。しかし、一定の場合には、被相続人の実子ではない人が実子としてカウントされる場合もあります。
具体的には、つぎのような場合、その人は被相続人の実子として扱われることになります。

① 特別養子縁組によって被相続人の養子となっている人
② 配偶者の実の子供で被相続人の養子となっている人
③被相続人と配偶者の結婚前に、特別養子縁組によりその配偶者の養子となっていた人で、被相続人と配偶者の結婚後に被相続人の養子となった人
④被相続人の実の子供、養子又は直系卑属が既に死亡しているか、相続権を失ったため、その子供などに代わって相続人となった直系卑属(代襲相続人)。

相続人の中に上記に該当する人がいる場合、相続税の基礎控除額の計算においては実子として扱われるため、養子の数の制限対象とはなりません。

8.実際の相続税はいくらになる?|相続税の具体例

それではここで、次のような事例において、実際の相続税がいくらになるのか考えてみましょう。

(設例)
被相続人:甲
相続人:配偶者、養子3人(「「X」「Y」「Z」」)
相続財産:5000万円

(1)実子がいる場合

相続税の基礎控除額算定の際には、実子の数には制限がありません。ここでは被相続人甲の実子として「A」「B」の2人がいることとしましょう。

上記の設例において被相続人に実子がいる場合、養子が何人いようとも相続税の基礎控除額を計算するうえでは、養子は1人までしかカウントされません。
この場合、基礎控除額算定の際に問題となる相続人の数は、乙・A・B・Xの合計4人となります。
そのため、相続税の基礎控除額は5400万円となることがお分かりいただけるでしょう。

この場合、相続税の計算はつぎのようになります。

(相続財産の額)5000万円 - (控除額)5400万円 = (課税対象額)-400万円

基礎控除額が実際の相続財産の額を上回っているため、相続税はいっさいかからないことになります。

(2)実子がいない場合

同じ事例において、被相続人甲に実子がいない場合、基礎控除の相続人の数の中には養子は2人までカウントしてもらうことができます。
そのため、相続人は乙・X・Yとなり、相続人の数は3人となります。このため、基礎控除額は4800万円となります。

この場合、相続税の計算はつぎのようになります。

(相続財産の額)5000万円 - (控除額)4800万円 = (課税対象額)200万円

この場合では、基礎控除額よりも実際の相続財産の額が多いため、相続税がかかることになります。
実際の相続税の額は、この「課税対象額」に税率をかけることで算出できます。ちなみに、この事例では、相続税が20万円(課税対象額が1000万円以下の場合、税率は10%)発生することになります。

なお、相続税の税率は相続する財産の額によって変動することになっています。詳細に関しては、以下のサイトをご覧ください。;

参考:「相続税の税率」(国税庁)

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9.相続放棄と相続税の基礎控除の関係

民法上、被相続人の配偶者には常に相続権が認められます。しかし、その他の相続人に関しては第1位から第3位まで順位がつけられています。

  1. 第1順位:被相続人の子供
  2. 第2順位:被相続人の直系尊属(両親など)
  3. 第3順位:被相続人の兄弟姉妹

自分の親族に相続が発生した場合、上記順序によって相続権が認められることになります。
しかし、相続権が認められるからといって、かならず相続しなければならないということはありません。何らかの理由によって相続することを拒否したい場合には、相続の放棄をすることができます。

相続人が相続を放棄した結果、その順位の相続人が誰もいなくなった場合には、相続権は後順位に移ります。
第1順位の相続人全員が相続放棄をした場合、相続権は第2順位へ移ります。第2順位の相続人が存在しないか全員相続放棄した場合には、相続権は最終的に第3順位へ移転していきます。

(1)基礎控除額は相続放棄によって変化しない

税法上注意しなければならないのは、相続税の基礎控除額を算定する際の相続人の数は、相続の放棄によって変化しないという点です。

たとえば、ある相続において相続人が第1順位に1人、第2順位に2人、第3順位に4人いたとしましょう。
この場合、第1順位である被相続人の子供が相続した場合、相続税の基礎控除額は3600万円までしか認められません。

すでにご紹介したように、相続税の基礎控除額は相続人の数が多いほど節税効果が高くなるため相続人にとって有利となります。それでは、この事例において第1順位と第2順位の相続人全員が相続放棄した場合、いったいどうなるでしょうか?

この場合、相続権は第3順位に移るため、相続人は4人となります。相続人が4人の場合、相続税の基礎控除額は5400万円まで認められることになります。

つまり控除額の算定において、相続放棄後の相続人の数をベースとして控除額の計算を認めてしまうと、形式的に相続放棄が行われ不当に相続税を逃れたりすることができるようになってしまう恐れがあるのです。
このような事態を避けるため相続法では、相続放棄があった場合でも、控除額算定の基礎となる「相続人の数」は相続放棄がなされる前の相続人の数とされているのです。

10.代襲相続が発生する3つのパターン

代襲相続が認められるのは、3つのパターンに限られます。
具体的には……

  • (1) 被代襲者が被相続人の死亡以前に死亡している場合
  • (2) 被代襲者が相続の欠格事由に該当する場合
  • (3) 被代襲者が相続人の廃除を受けている場合

ここでは、これら3つのパターンの大まかな内容について整理してみましょう。

(1)被相続人の死亡以前に死亡している場合

被相続人の死亡以前に被代襲者が死亡している場合、代襲相続が認められます。
繰り返しになりますが、被相続人と被代襲者が同時に死亡している場合も代襲相続が可能です。

これは、被相続人と被代襲者の死亡時期の前後が不明な場合でも同様です。両者の死亡の前後が明らかでない場合、法律上では同時に死亡したと扱われるのが原則だからです(「同時死亡の推定」)(民法32条の2)。

(2)相続の欠格事由に該当する場合

被代襲者が被相続人の相続において欠格事由に該当する場合、その子供などには代襲相続する権利が認められます。

相続の欠格とは、相続人が特定の不正行為を行った場合に、その人の相続権が否定されることになる制度です。この不正行為のことを「欠格事由」といいます。
民法では、つぎのような5つの行為を欠格事由と定めています(民法891条)。

①被相続人などを殺害した場合

相続権のある人が、被相続人や相続において先順位または同順位にあるほかの相続人を殺害し、殺人罪または殺人未遂罪で処罰された場合、相続権が否定されることになります。

②被相続人が殺害されたこと知りながら告訴・告発しなかった場合

被相続人が殺害されたことを知りながら、これを警察に告訴・告発しなかった場合、その人は相続権を失うことになります。

ただし被相続人を殺害した人物が、その人の配偶者や直系血族(親子などの関係)だった場合には、告訴・告発しなかったとしても相続の欠格には該当しないとされています。

③詐欺・脅迫によって遺言の妨害をした場合

詐欺や脅迫を行い、被相続人が以下の行為をすることを妨げた場合、相続の欠格に該当し、その者は相続権が認められなくなります。

  • 遺言すること
  • 遺言を撤回すること
  • 遺言を取り消すこと
  • 遺言を変更すること

④詐欺・脅迫によって遺言の撤回などをさせた場合

詐欺や脅迫を用いて被相続人に遺言させたり、つぎのような行為をさせた場合、その人は相続権を失うことになります。

  • 遺言の撤回
  • 遺言の取り消し
  • 遺言内容の変更

⑤遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した場合

被相続人の遺言書を偽造したり、変造・破棄・隠匿などをした場合、その人はその被相続人の相続に関して欠格事由に該当します。「隠匿」とは、遺言書を隠すことです。

(3)相続人の廃除を受けている場合

被相続人は生前または遺言をもって、特定の相続人を相続人から廃除することが民法上認められています。廃除された相続人は、その相続においては相続権を失うことになります(民法982条)。

被相続人の排除を行うためには、次のような2つの方法があります。

①生前の廃除

相続人の廃除は、被相続人の生前に行うことができます。
この場合には、相続人の廃除を求めて家庭裁判所に申し立てを行い、その許可(審判)を得る必要があります。

②遺言による廃除

相続人の廃除は、被相続人の死後、遺言によって行うことも可能です(民法893条)。
この場合には遺言書に、その旨を記載することになります。

廃除事由

家庭裁判所によって相続人の廃除が認められるためには、つぎのような廃除事由に該当する事実の存在が必要です。

  • 被相続人に対する虐待
  • 被相続人に対する重大な侮辱
  • 著しい非行

被代襲者に上記に該当する事実があると判断された場合、被代襲者は相続から排除されることになります。しかし、その人に子供などがいる場合には代襲相続が認められるのです。

なお、被相続人の兄弟姉妹は、民法上廃除をすることができないことになっています。

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11.代襲相続人の相続分とは?

相続において、ある相続人が上記3つのパターンに該当する場合、相続権を失うことがあります。この場合、一定の条件のもとに代襲相続が認められる場合があります。

それでは代襲相続人に認められる相続分は、いったいどれくらいになるのでしょうか?

代襲相続権は、あくまでも被代襲者に「なり替わって」相続する権利です。このため代襲相続人に認められる相続分は、被代襲者が相続するはずだった相続分と同一になります。

12.代襲相続と数次相続

代襲相続と似たものに「数次相続」というものがあります。

数次相続とは、ある人について相続が開始した後、その遺産分割協議や相続登記などが終わっていないうちに相続人の中に死亡する人が出たため、さらに相続が開始してしまう事例のことを言います。

たとえば、父親が死亡し遺産分割協議が成立する前に、その相続人である子供が死亡してしまう場合などが典型例といえるでしょう。

代襲相続と数次相続は、遺産分割協議が成立する前に相続人が死亡し、その相続権がまた相続の対象となるという点で類似しています。
しかし両者は、死亡した相続人の相続権を承継する人の範囲が異なります。そのため、こちらでは両者の違いについて簡単にご紹介させていただきます。

(1)数次相続とは?

数次相続とは、一番最初に発生した相続に関する遺産分割などがなされる前に、その相続人の中に死亡する人が出てしまうケースのことを言います。1回目の相続問題が解決する前に、当事者の中で2回目の相続が発生してしまうのです。

数次相続の具体例

それではここで、ある人に関する相続が数次相続となってしまう場合の具体例をみてみましょう。

たとえば、父親が死亡し相続が開始したのに相続人が遺産分割などを長期間放置してしまうことが世間ではよくあります。
このような場合において、父親の相続問題が解決していないにもかかわらず相続人である子供が死亡し、子供についても相続が始まってしまう事例などが数次相続という問題です。

この場合、最初の相続を「一次相続」、その次に発生した相続を「二次相続」などと呼ぶことがあります。
これらの相続に関する遺産分割協議が成立する前に、相続人の中にさらに死亡者が出た場合には、「三次相続」が開始することになります。

数次相続となる場合、相続人となる当事者が多数となることが一般的であるため、当事者の権利関係が複雑になってしまいます。

数次相続は重大問題!

現在、日本では数次相続が大きな問題となっています。
相続したにもかかわらず遺産分割や相続登記が行われず、複数の数次相続が発生してしまっているため権利者が不明な不動産がたくさん存在するのです。

公共事業や大規模な町の再開発などの場合、土地や建物の所有者の同意が不可欠です。しかし、所有者が不明の不動産が多いため、不動産の権利者が誰なのかわからないことが多いのです。不動産の権利者が不明な場合、工事を進めることができなくなってしまいます。
現在、所有者不明の不動産は深刻な社会問題となっています。

この問題の解決を図るため、政府は2020年をめどに相続登記の義務化を検討しています。

数次相続での相続人の確定方法

ある人の相続が数次相続となった場合、その相続人を確定するのは非常に面倒な作業となります。
相続人を確定するためには、まず一番最初の相続に関する相続人を確定します。そのためには、被相続人の出生から死亡までの戸籍を入手する必要があります。そして戸籍を読み、相続人を確定していきます。
最初の相続に関する相続人が確定した場合、つぎの相続に関する相続人を同様に確定していくことになります。

このように言葉で説明すると簡単なように思われるかもしれませんが、「戸籍を読む」ということは慣れない人にとっては意外と難しいものです。
遺産分割協議が法律上有効とされるためには、すべての相続人が協議に参加する必要があります。戸籍を読み間違ってしまい、ほかにも相続人がいるにもかかわらず一部の相続人が参加していない遺産分割協議をした場合には、協議自体が無効となってしまいます。

戸籍の取得や相続人の確定に自信がない場合、遺産分割協議を確実に行いたい場合には、弁護士などの専門家に相談したほうがよいでしょう。

数次相続で相続人となる人の具体例

数次相続が起こった場合、誰が相続人になるのか具体例で見てみることにしましょう。

甲さんが亡くなり、相続が開始したとします。この相続の当事者は、次のとおりです。

被相続人:甲
相続人:配偶者乙、子供A・B

この場合、甲さんの相続において相続人となるのは乙・A・Bです。
数次相続が発生する前に遺産分割協議を行うのであれば、この3人の話し合いだけで遺産分割協議は終了します。つまり、この状態のときに遺産分割協議を行えば、いわば家族内での話し合いだけで協議を終了させることができることになります。

しかし、甲さんの相続財産に関して遺産分割協議が成立しないうちにBさんが死亡してしまったとしましょう。
この場合、Bさんの相続の当事者がつぎのようであったとします。

被相続人:B
相続人:配偶者X、子供B1・B2・B3

この場合、Bさんの相続ではX・B1・B2・B3が相続人となります。

以上のように数次相続が発生している場合、甲さんの相続に関する遺産分割協議には死亡した相続人Bさんの相続人も参加する必要があります。
つまり、甲さんの相続に関する遺産分割協議には、乙・A・X・B1・B2・B3の6人が参加する必要があるのです。

このように数次相続が発生した場合、相続に関する当事者が増加するため遺産分割協議を成立させることが難しくなる傾向があるのです。
そして遺産分割協議の参加者として、このうち1人でも欠けた場合、遺産分割協議は法律上無効となります。

数次相続が発生している場合、各相続における相続人が誰であるのか確定することは非常に大切なことです。

(2)代襲相続と数次相続の区別法

代襲相続と数次相続を区別するためには、つぎの2つのポイントに注目すると簡単に判断できます。

① 被相続人と死亡した相続人の関係
② 被相続人の死亡日と相続人の死亡日の関係

①被相続人と死亡した相続人の関係

ある相続において相続人が死亡した場合でも、その人が被相続人の配偶者や直系尊属である場合には代襲相続は発生しません。
代襲相続が発生するのは、死亡した相続人が被相続人の子供か兄弟姉妹のケースです。この場合には、「②被相続人の死亡日と相続人の死亡日の関係」で判断することになります。

②被相続人の死亡日と相続人の死亡日の関係

被相続人と相続人の死亡日は、戸籍を見ることで確認できます。まず、この死亡日を確認しましょう。
そして、つぎのどちらに該当するか確認します。

(被相続人よりも先に相続人が死んでいる場合)
死亡した相続人が被相続人の子供・兄弟姉妹の場合、代襲相続となります。この場合には、死亡した相続人(被代襲者)が相続するはずだった相続分を代襲者が相続できることになります。
死亡した相続人が被相続人の配偶者または直系尊属の場合には、普通の相続となります。
(被相続人の死亡後に相続人が死んでいる場合)
この場合には、数次相続となります。

代襲相続や数次相続が生じたケースでは、相続人間の権利関係や手続きなどが非常に複雑となります。このため、弁護士や司法書士など相続の専門家へ相談することをおすすめします。

13.代襲相続の必要書類

相続後には、各種の手続きが必要となります。たとえば、相続財産の中に不動産がある場合には相続登記をすることになります。そのほかにも各種名義変更や、被相続人名義の銀行口座などから預金を下ろす場合などにも一定の書類が必要です。

代襲相続が発生した場合、各種手続きには、つぎのような書類が必要となることが一般的です。

① 被代襲者に関する戸籍
被代襲者がすでに死亡しており、被代襲者に子供がいることを証明するために、被代襲者の出生から死亡までの連続した戸籍(戸籍謄本改製原戸籍除籍謄本など)が必要となります。「連続した」とは、出生から死亡に至るまでの全期間についての戸籍が必要ということです
場合によっては、戸籍関係だけで4つも5つも書類が必要ということもあります。
② 代襲者に関する戸籍
代襲者の現在の戸籍(戸籍謄本戸籍全部事項証明書)が必要です。
代襲相続人が複数いる場合には、代襲者全員の戸籍が必要ですので注意してください

上記の戸籍の中で重複するものがある場合には、省略することが可能です。
しかし、1つでも足りない書類がある場合には、手続を完了させることができなくなってしまいますので、漏れのないように事前にしっかりと確認することが大切です。

なお、上記の戸籍類は、それぞれ本籍地を管轄する役所でしか入手することができません。被代襲者が出生から死亡に至るまでの間に本籍地をいくつも移動していた場合、複数の役所で戸籍をとる必要があります。

本籍地の役所が遠方であり、わざわざ出かけて行って取得することが難しいような場合には郵送によって申請することも可能です。
しかし、郵送での申請となると戸籍が送られてくるまで日数もかかりますし、面倒な手続きとなるため慣れていない人にはハードルの高い作業といえます。

ご自分での入手が難しい場合には、弁護士など法律の専門家に戸籍の入手を依頼することも可能です。弁護士などであれば、職権で戸籍などを取得できるため時間の節約にもなるでしょう。

14.まとめ

今回は、「代襲相続」についてご紹介しました。

自分と一定の親族関係にある人が亡くなった場合、自分に相続権が認められることがあります。通常の場合、相続人となる人はその人の子供と配偶者であることが一般的です。
しかし、被相続人の死亡以前に本来であれば相続人となるはずだった人が死亡している場合、その人には相続権が認められないのが民法の扱いです。しかしその場合でも、その人に子供がいる場合、代襲相続が認められることがあります。

代襲相続が発生する場合、相続人である当事者の法律関係は複雑になることが一般的です。権利関係が複雑となる場合、当事者間のトラブルなどに発展する恐れが高くなります。
そのような可能性が考えられる場合には、弁護士に相談することが効果的です。

当事務所は、全国どこからでも24時間相談を受け付けています。相談料は何度でも無料ですので、お気軽にご相談ください。

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